ビタミンCと聞くといいことだらけのビタミンという印象があると思います。
実際に、ビタミンCには次のような作用があります。
美白作用 |
メラニン色素(シミの色素)の生成を抑える作用とともに、できてしまったメラニン色素を還元する(元に戻す)作用があります。 |
コラーゲンを増加させる作用 |
コラーゲンを増加させることでシワやたるみを防ぎます。 |
皮脂の分泌を整える作用 |
皮脂の分泌を整える作用は、ニキビ肌の方にお勧めです。 |
活性酸素を抑える作用 |
肌の衰えを予防する効果があります。 |
こんなにすばらしい作用があるのですが、残念ながら使いにくい欠点もあります。
- 安定性が低くて空気に触れると酸化しやすい。
- 水に溶かすと活性を失う。
- ビタミンCを外用しても皮ふから吸収されにくい
- ビタミンCを内服すると急速に吸収されて、一時的に血中ビタミンC濃度がある程度高まるが、 その大半が尿としてすぐ排泄されてしまうため持続性に欠ける。
という性質を持っています。このため、皮ふへの美容効果を得るためには、
いかに皮ふにビタミンCを届けてかつ活性を持続できるかが、問題になってきます。
ビタミンC誘導体について
ビタミンCをそのまま塗っても皮ふに吸収されにくいという欠点がありました。そこで構造式の一部を変えて
皮ふに吸収されやすくしたものがビタミンC誘導体です。ビタミンC誘導体は、ビタミンCとは異なり容易に皮ふから吸収されます。皮ふに吸収されてからメラニン色素に近い距離で酵素反応によって
ビタミンCに変化し、長時間そこに留まる性質があります。
そのため、化粧品や美白剤では、ビタミンC誘導体が含有されることが多いのです。
ただし、ビタミンC誘導体といっても、いくつか種類があります。
主に、
水溶性、脂溶性、新型の3種類が使われています。それぞれに特徴があります。どのビタミンCが入っているのか、全成分表示で確かめてみましょう。
種類 |
浸透力※ |
持続力 |
即効性 |
安定性 |
臨床データ |
水溶性 |
8倍 |
約12時間 |
高い |
高い |
多い |
脂溶性 |
20倍 |
約24時間 |
低い |
高い |
多い |
新型 |
100倍 |
データなし |
データなし |
低い |
少ない |
※:浸透力はビタミンCとの対比
おのおのの具体的な成分名は
種類 |
成分名 |
水溶性 |
リン酸アスコピルマグネシウム (APM) |
リン酸アスコピル酸3Na |
脂溶性 |
テトライソパルミチン酸アスコビル (VCIP) |
新型 |
パルミチン酸アスコルビルリン酸3Na(アプレシエ) (APPS) |
だんだん、頭が痛くなるような内容ですが、
簡潔に言うと、
●水溶性ビタミンC誘導体は水に溶けるので、ローションとしてお渡すすることが多い薬剤です。
●脂溶性ビタミンC誘導体は油に溶けるので、クリームやジェルとしてお渡しします。そのため、化粧品に含まれることが多く、病院で調剤されることはほとんどありません。
●新型ビタミンC誘導体は水溶性と脂溶性を併せ持つため、ローションとして化粧品に含まれます。安定性が悪く、まだ臨床データも少ないので、現時点でどれだけ効果があるかは未知数の印象です。
以上の理由で、当院では
@
リン酸アスコピルマグネシウム (APM)
A
リン酸アスコピル酸3Na
のローションを調剤してお渡ししています。
ともに
水溶性のビタミンC誘導体です。
一番の利点は、効果が早く発現し、価格が安いことでしょうか。
美白剤と言うよりも、化粧水や乳液として使用される方が適当と思います。
左がリン酸アスコピル酸3Na、右がリン酸アスコピルマグネシウムです。
いずれも9%の濃度です。
ビタミンC誘導体の至適濃度には色々研究がありますが、一般的な化粧品の含有濃度はおよそ1%と言われています。一方、
使用によりはっきりとした効果を感じられる濃度は、一般的には3%以上と言われます。
医療用では5〜6%濃度のものを、エステなどでは7%を使用することが一般的です。逆に10%以上にしても効果に差がなく、刺激が強くなると言われています。
そのため、当院では至適濃度上限と考えられる9%でお渡ししています。
|
即効性 |
刺激 |
価格 |
保存 |
リン酸アスコピルマグネシウム |
より高い |
弱い |
やや高価 |
冷蔵で1ヶ月 |
リン酸アスコピル酸3Na |
やや劣る |
やや強い |
安価 |
常温で2ヶ月 |
上の表のように、リン酸アスコピル酸3Naはやや刺激が強いため、
モイスチュアローションに溶解してお渡ししています。
このモイスチュアローションは、ヒアルロン酸高配合の弱酸性保湿化粧水です。
詳しくは
こちらを参照してください。
より高い効果を希望の方は、リン酸アスコピルマグネシウムをお勧めします。
化粧水や乳液の代わりに使用したい方は、リン酸アスコピル酸3Naでよいと思います。
ビタミンCローションの料金
リン酸アスコピルマグネシウム 50ml |
現在取り扱っていません。 |
リン酸アスコピル酸3Na 50ml |
2,900円 |
令和元年10月から消費税率の変更に伴い料金を改変しました。