予期せぬケガで皮ふがパックリ裂けてしまったときには、縫合するのが一番の治療です。
大人であれば、局所麻酔をした後、皮ふをきれいに整えて縫合します。おそらく、これ以上の治療はありません。
しかし、小児の時にはなかなかジッとしてくれません。
押さえつけて縫合しますが、あまりきれいな傷にはならないことが多くあります。
小児の裂傷です。
ダーマボンドとは?
当院では、小児の裂傷の治療用に、ダーマボンド ミニを常備しています。
ダーマボンド ミニとは、液状のシアノアクリレートモノマーが水分により硬化、接着することで、創部を被覆します。形成された透明なフィルム層は創縁を密着し、術直後の創閉鎖環境を保持します。
ダーマボンド ミニです。
つまり、
皮ふを縫合する代わりに、ボンドの接着力で傷をよせるものです。
そのため、脂肪まで達しており、パカッと開いた傷の時は一旦真皮〜皮下縫合で傷をよせておく必要があります。そうしなければ、きれいになりません。
真皮〜皮下縫合。一旦傷をよせてからボンドで皮ふを固定します。
ダーマボンドの使用方法
※縫合せずに皮ふを寄せることができます。
ダーマボンドの使用について知って頂くこと
6歳未満の小児までしか保険適応はありません。
したがって、それ以外の患者さんに用いるときには、ダーマボンド1本につき2000円が治療費以外に必要です。
※ダーマボンドの治療のみでも局所麻酔は行います。
※出血が多いときには、まず止血が必要です。
※パカッと開いた傷では、寄せるための縫合が必要です。
※使用できる傷の長さは約4cmまでとされています。
※顔面では勧められる治療ですが、頭皮では髪を剃らないとボンドが固着しません。また、体や手足では皮ふの癒着に時間がかかるため、縫合した方がよいと思います。
縫合に比べて、ダーマボンドの方がきれいになるわけではありません。
安静が保てて密に縫合できればその方が傷はきれいになります。
ですので、安静が保てない小児に使用する治療とお考えください。
ダーマボンドを使用した後の経過
徐々に膜状のボンドが剥がれ落ちていきます。
おおよそ、7-10日目には脱落します。
顔面であれば、皮ふは7日以内に癒着します。
当然、抜糸は必要ありません。
手術料金(保険診療)
- 乳児医療があれば、500円の負担になります。 下の表は3割負担の場合です。
- 下記料金以外にも初診料、再診料、処方料、薬剤料がかかります。 (乳児医療では包括されます)
- 下記料金は本ページ作製時の金額です。診療報酬の改定により変更になる可能性があります。
一般的な顔面の裂傷+ダーマボンド(真皮縫合なし) |
2.5cm未満(筋肉に達しない) |
手術代1,350円+局所麻酔代など |
2.5cm-5cm(筋肉に達しない) |
手術代1,500円+局所麻酔代など |
2.5cm未満(筋肉に達する) |
手術代3,750円+局所麻酔代など |
2.5cm-5cm(筋肉に達する) |
手術代4,200円+局所麻酔代など |
真皮〜皮下縫合を行ったときは、1,380円が加算されます。 |