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西風新都のこころ皮ふ科クリニックです。皮ふ科一般の治療と皮ふ外科、レーザー治療を行っています。

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粉瘤(ふんりゅう)atheroma

「粉瘤」について

皮ふの下にできる腫瘍の中で一番多い病気です。本当は腫瘍ではなく、皮ふが皮ふの中に埋まり込んで袋を作る疾患です。皮ふはアカを作る組織ですから、粉瘤の中にはアカがたまります。これが粉のように見えるため、「粉のこぶ」と書いて「粉瘤」と呼びます。しばしばくさい臭いを伴いますし、時には赤く腫れて痛みを伴います。こうなると広島では「おでき」と呼びます。


粉瘤のシェーマ(自作しました)


 

粉瘤の臨床像

通常はクルミ大までですが、時にはソフトボール大まで大きくなることがあります。中央に黒い点があることが多く、ここがヘソに相当します。

粉瘤と思っても、切除すると別の腫瘍、時には肉腫であったりしますので、皮ふの下の腫瘍については切除して組織検査を行うことをお勧めします。

粉瘤についてのQ&Aはこちらから  
    

「粉瘤」の手術方法

この袋をできるだけ破らないように切除します。上手に切除すると白い玉のように切除できます。皮ふはできるだけ残した方が傷は小さくできますが、その分手術は難しくなり術後のトラブルも増えます。部位と状態を考えて判断します。
感染を生じているときは、小さく切除できません。特に感染が強いときには、一旦切開して感染症を落ち着かせる必要があります。切除はその後に計画することになります。
      
  皮ふを小さめに切除して、袋を周囲から剥がしつつ切除します。

 
袋の中にはアカがつまっています。これを漏らさないように切除します。大きな粉瘤では皮ふを縫合したときに、空洞が残ることがあります。その時は血液が溜まらないように、血抜きの管(ドレーン)を留置します。数日後に抜去します。

腹部の卵大の粉瘤です。
 
皮ふを切開し、粉瘤の被膜を見つけます。 メスで薄く周囲組織を切開し皮膜沿いに剥離します。

メスでうまく剥離すると出血はほとんどありません。周囲組織を厚く切除すると出血します。
感染を繰り返した粉瘤や数年以上軽快している粉瘤では周囲が線維化して癒着していますので、それなりに出血します。

ドレーンを挟んで皮ふを縫合します。


左頬部の胡桃大の粉瘤です。



同様に袋を剝離します。皮ふが柔らかい顔面では、ハサミよりもメスではく離した方がより限局的に切除できることが多いです。




うまくはく離すると、袋だけがきれいに切除できます。その時は、ほとんど出血しません。感染の既往がある粉瘤ではこのようにきれいには切除できません。感染で線維化した組織を含めて切除することになります。必然的に、傷もやや大きくなります。

感染を生じないうちに切除することが重要ですね。

では、感染が強いときはどうすればよいでしょうか。
  



このような状態で切除を希望して来院される方が多いです。
しかし、このような状態で粉瘤を限局的に切除することはできません。


このように感染をしているときは、まず抗生剤の内服を行います。膿がたまっているなら、局所麻酔下に切開排膿して感染を落ち着かせることが先決です。
切開排膿の選択は患者さんの希望次第です。パンパンに膿がたまっていれば、切開排膿をお勧めします。そうでないときには、取りあえず抗生剤内服で経過を見てもよいと思います。


 
感染した粉瘤です。              周囲に局所麻酔を注射します。

 
波動を触れる部位をメスで切開します。       自然に膿が排出されます。


できるだけ膿を押し出します。十分にでないときには鋭匙で掻爬します。排出後は洗浄します。




粉瘤に感染を生じ赤く腫れています。痛みもあります。


切開排膿と抗生剤内服して2週間後です。痛みは消え、赤みと腫れもなくなりました。
それでもしこりは残ります。
6ヶ月程度は待ってから、切除を検討します。



※ 当院で局所麻酔で切除できる大きさの目安は、
 顔面、頚部で直径4cmまで。
 躯幹、四肢で直径6cmまで。
 足底で直径2cmまで。
 これ以上の大きさの粉瘤であれば、総合病院へ紹介させて頂きます。
 粉瘤の性状や発症部位によって、必ずしもこの基準に従わないこともあります。

 また、頭部の粉瘤の切除は出血が多いため、原則当院では行いません。総合病院に紹介状を記載することになります。(側頭部や後頭部では皮ふに伸張性があるため、切除できることもあります)
 


     

手術料金(保険診療)

  • 3割負担の時の支払い額になります。 1割負担の方はこの金額の1/3になります。
  • 露出部は頭・顔・首・肘から下・膝から下の部分です。
  • 下記料金以外にも初診料、再診料、処方料、薬剤料がかかります。
  • 下記料金は本ページ作製時の金額です。診療報酬の改定により変更になる可能性があります。

粉瘤の切除
露出部の2cm未満 手術代4,980円+病理検査代3,070円=合計8,050円
露出部の2cm以上 手術代11,010円+病理検査代3,070円=合計14,080円
露出部以外の3cm未満 手術代3,840円+病理検査代3,070円=合計6,910円
露出部以外の3cm以上 手術代9,690円+病理検査代3,070円=合計12,760円
    

Q&A よくある質問

手術は痛いですか?

局所麻酔(歯の治療の麻酔と同じもの)の時に痛みはありますが、手術中は痛みはほとんどありません。

手術後は痛いですか?

当日、翌日ぐらいまで痛みがあります。小さい傷(1cm以下)の場合はほとんど痛みはないようです。痛みに対しては痛み止めの内服薬を処方します。

入浴はできますか?

縫合したときは翌日からシャワーを許可しています。創部をシャワーで洗い流し、その後処方した消毒液で表面を拭いてもらいます。その後は絆創膏でカバーしてもらいます。炭酸ガスレーザーでは当日からシャワー、入浴とも問題ありません。処方した軟膏を外用してもらいます。   

抜糸までの期間は?

顔面で5-7日目、手のひら、足の裏では14日目、それ以外は7-10日程度です。

組織検査の結果はいつ頃にわかりますか?

鳥取大学の皮ふ病理の専門医に診断をお願いしておりますので、だいたい10日間かかります。

   

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