2025年~2029年までの5年間は、その年に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる方も助成の対象になります。(101歳以上は2025年のみ助成あり)
一度帯状疱疹に罹患すると、それで免疫が上がります。そのため、20-30年は帯状疱疹にかからないと言われています。つまり、「帯状疱疹にかかる以上のワクチンはない」とも言えます。
なので、数年前に帯状疱疹にかかった方がワクチンを接種する必要があるかというと、かなり疑問ではあります。ただし、「ブースト効果を狙って、、、、」と考えれば、整合性がないとも言えません。
水ぼうそうのウイルスで生じる病気です。
皮ふ科で
「痛い!」というと、その代名詞になっているほど、
痛みを伴う厄介な疾患です。
特徴は、
- 必ず、左右どちらかのみ皮疹が生じます。両方とも生じることはありません。
- 最初は痛みから始まり、数日後から赤い皮疹が生じます。そして、徐々に水ぶくれが認められるようになります。
- 程度はさまざまですが、それなりに痛みを伴います。(若年者ではかゆいといわれる方も多いです)
- 高齢者に多い疾患です。しかし、水ぼうそうに罹患したことがある方(あるいは、ワクチン接種の経験がある方)であれば、誰にでも生じる可能性があります。小学生に生じることもまれではありません。
- 皮ふの病変が治った後も、神経痛だけが続くことがあります。これを帯状疱疹後神経痛といいます。年齢に比例して痛みが長引くことが多く、70~80歳台では30-50%の方に半年以上の神経痛が残ると言われています。 実は帯状疱疹で一番辛いのはこの神経痛が長く続くことです。
右腹部から背部に皮疹が認められます。最も帯状疱疹の多い部位です。

顔面に生じることも多いです。特に、額から上眼瞼にかけて生じると、ヘルペス性角膜炎を生じることがあるため、注意が必要です。
帯状疱疹の予防、、、、必要か否か?
発症してしまった帯状疱疹には、抗ヘルペスウイルス薬を内服するなどで治療を行います。
帯状疱疹の治療については、煩雑になるのでここでは触れません。
この帯状疱疹には、
80歳までに3人に1人が罹患すると言われています。
逆に言うと、80歳までには3人に2人は発病しません。平均寿命を考えると、おそらく、
半数程度の方は一生涯発病せずに人生を終えることになります。
ですので、
帯状疱疹を予防するべきかどうかという問いかけに答えることは難しいです。
約半数の人間には無用のことになるのですから。
ちなみに、私のような皮ふ科医は帯状疱疹になることがとても少ないと言われています。小児科医の帯状疱疹も少ないそうです。
なぜでしょうか?
皮ふ科医は日常的に帯状疱疹の診察を行うため、その都度ウイルスに対する免疫が上がるためと思います。(実証はされてませんが。)
小児科医も水ぼうそうの治療をするため、同じことが言えます。
しかし、日常的にウイルスに暴露することのない一般の方にとっては、ワクチンの接種する以外にこのウイルスに対する免疫を高める方法がありません。
つまり、
予防するためには、ワクチンの接種が必須ということになります。
必要性は各自が判断ですね。
帯状疱疹のワクチン療法
まず、はじめに
帯状疱疹のワクチンは
50歳以上が対象になります。
帯状疱疹の罹患率が、50歳以上で高くなることがその根拠のようです。
また、任意接種です。つまり、保険は効きませんし補助もありません。(例外的に名古屋市のみ助成があるようです。残念ながら、広島では助成はありません。河村市長、さすがですね。)
※ページのはじめに記載したように2025年4月1日から帯状疱疹ワクチンが定期接種になり、広島でも助成が始まりました。ただし、助成があるのは65歳以降です。
※
帯状疱疹に罹患するリスクが高いと考えられる
18歳以上の方にも投与できるようになりました。
具体的には、
・疾病あるいは治療により免疫不全であるもの、免疫機能が低下したもの、その可能性があるもの
・上記以外でも、医師が接種の必要性を認めたもの
となっています。(この条件なら、誰でもOKって感じですけどね。)
ワクチン療法には2種類の薬があります。
① 水痘ワクチン
② シングリックス
水痘ワクチンはいわゆる「水ぼうそうのワクチン」です。
子供に投与されるワクチンと同じものです。以前から帯状疱疹の予防としても使用されてきました。
シングリックスは、2020年1月に認可された全く
新しいワクチンです。帯状疱疹の予防のみに使用されます。極めて予防効果が高いワクチンですが、治療費もとても高いです。
どちらの薬がよいかは次の表を見て考えてください。
水痘ワクチン VS シングリックス
各々の特徴を表にまとめました。
有効性は令和6年に発表されたデータです。
|
水痘ワクチン |
シングリックス |
ワクチンの種類 |
生ワクチン |
不活化ワクチン |
接種回数 |
1回 |
2回
2ヶ月後に2回目が必要 |
有効性 |
50~59歳:69.8%
60~69歳:64%
70~79歳:41%
80歳以上:18% |
50~59歳:96.6%
60~69歳:97.4%
70~79歳:90.0%
80歳以上:89.1% |
持続期間 |
5~7年程度 |
10年以上 |
副反応 |
接種部位に痛み
発赤、軽度の腫脹
全身症状はほとんどない |
接種部位に痛み(筋肉注射)
発赤、軽度の腫脹
全身症状としては、筋肉痛、疲労感、頭痛など |
助成なしの費用 |
9,000円 (税込) |
22,000円(税込)/回 |
次に、各々の長所と短所を示します。
|
水痘ワクチン |
シングリックス |
長所 |
1回の投与でよい
治療費が安い |
予防効果が高い
持続時間が長い
不活化ワクチンなので、 免疫抑制剤や抗癌剤を使用中の方にも使用できる。
1週間で他のワクチンを接種できる。
(実際は期間の制限はないようです)
|
短所 |
持続時間が短い
予防効果は劣る
免疫が低下している方には使用できない。
妊娠していることが明らかな人には投与できない。
他のワクチンを接種するまで1ヶ月待たなければならない。 |
接種部位の疼痛が強い
2回の接種が必要
治療費がとても高い |
現在(令和3年3月時点)、国民のほとんどがコロナウイルスのワクチンを待機中と思います。
水痘ワクチンを接種すると1ヶ月間はコロナウイルスへのワクチンを接種できなくなるので、現時点で帯状疱疹のワクチンを接種するのであれば、接種までの期間が短いシングリックスの方がよいかと思います。
帯状疱疹のワクチン療法の治療費
○ 定期接種の方(65歳以上の方)
自宅にクーポンが届きましたら、電話で予約してください。
接種日には、同封されている問診票に必要項目を記載して、持参してください。
水痘ワクチン(助成あり) |
4,900円 (税込) |
シングリックス(助成あり) |
18,100円(税込)/ 回
※2回必要なので、36,200円かかることになります。 |
○ 定期接種以外の方(65歳未満の方)
自費の治療になります。
電話で予約してください。別の件で受診した際にワクチンの希望を伝えてもらっても結構です。
水痘ワクチン(助成なし) |
9,000円 (税込) |
シングリックス(助成なし) |
22,000円(税込)/ 回
※2回必要なので、44,000円かかることになります。 |