思春期になると男女とも男性ホルモンの分泌が活発になり、その影響を受けて皮脂の分泌が盛んになります。また、毛包周辺の角層が厚くなり、毛穴が狭くなります。そのため、毛包の出口がつまってしまい、毛包内に皮脂が溜まってきます。これがニキビの原因です。そのためにニキビは思春期にできやすくなり、成人すると自然によくなっていきます。いわゆる「青春のシンボル」といわれるのはこのためです。
また、思春期以降のニキビは女性ホルモンと男性ホルモンのバランスの崩れが一因とされ、思春期のニキビとは経過や好発部位が異なります。
つまり
、以下が原因です。
- 男性ホルモン
- 毛穴の角化
- 皮脂の分泌亢進
- ニキビ菌の増加
男性ホルモンが
毛穴を角化させ、
皮脂の分泌を促進します。
その結果、毛穴の中に皮脂が詰まった状態が生じます。これを
面疱(めんぽう):コメドといいます。
さらに、ニキビ菌が増殖すると
赤い炎症を伴う皮疹となり、さらに
膿をもった硬い皮疹になります。
白く見えるのが普通の面疱です。
黒く見えるのが黒色面疱です。
俗称では、
「白にきび」、「黒にきび」と呼ばれます。
ここを治すことが、今時のニキビの治療のポイントですね。
ニキビの経過
ニキビの症状は上記の原因により、進行性に変化します。
大雑把に言うと、
白いニキビ(黒いニキビも含む)→ 赤いニキビ → 膿んだニキビ
の順に進行します。
次におのおのの段階での症状を記載します。
(
ディフェリンゲル0.1%のHPから引用、転載)
ニキビの前段階です。まだ、皮疹はありません。しかし、毛穴の中では皮脂が詰まって、ニキビができようとしてます。
いわゆる
「白ニキビ」です。閉鎖面疱ともいいます。皮脂が詰まって、クリクリとした塊を触れます。まだ、炎症はありません。この状態には抗生剤は効きません。ディフェリンゲル0.1%の適応です。
いわゆる
「黒ニキビ」です。開放面疱ともいいます。閉鎖面皰の毛孔が開大し、酸化された皮脂がのぞいて見えるため、黒色に見えます。
そして、
「赤いニキビ」へと変化します。ニキビ菌の増殖が始まると、炎症が生じます。その結果、紅色の丘疹が散在するようになります。押さえるとわずかに痛みを感じますが、ウミはでません。抗生剤の治療の適応が始まります。
進行すると
「膿んだニキビ」になります。一部は膿がたまり、膿疱という状態になります。押さえると白い膿がにじみ出るようになり、痛みも少し強くなります。この状態ではディフェリンゲル0.1%の効果はありません。抗生剤の内服が有効です。
さらに進行すると、嚢腫、結節、瘢痕になることがあります。こうなるには体質的な要素が大きく関係しますので、必ずしも通常のニキビがこのような経過をとるわけではありません。喫煙者に多く、タバコが何らかの増悪因子になっていると考えられています。
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ニキビの治療
このようにさまざまの原因がありますので、それに対応した治療が必要です。また、症状に応じて、多くの治療を併用してニキビを抑えていくことが理想です。
- 男性ホルモンを抑える治療(ホルモン治療)
(○)
- 避妊薬である低用量ピル(マーベロンR)内服(思春期後のニキビ)
(△)
- スピロノラクトン内服(抗アンドロゲン作用)(○)
- 毛穴の角化を抑える治療
- 皮脂の排出を促す治療
- 毛孔を破壊し、皮脂の貯留を防ぐ治療 (男性に有効)
- ニキビ菌の増加を抑える治療
- 抗生物質内服(ミノサイクリン、テトラサイクリンなど) (○)
- 抗生物質外用(ダラシンTゲルR、アクアチムクリームRなど) (○)
- 過酸化ベンゾイル外用 (ベピオゲル、デュアックゲル) (○)
- その他(漢方、保険適応)
- 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう) (○)
- 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう) (○)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん) (○)
- 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう) (○)
- 枝茯苓丸加苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん) (○)
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう) (○)
現在、当院で可能な治療を
○を付けています。△の低用量ピルについては、基本的に産婦人科を受診して処方を受けて頂きます。
今後、他の治療についても勉強して治療の幅を広げる予定です。