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西風新都のこころ皮ふ科クリニックです。皮ふ科一般の治療と皮ふ外科、レーザー治療を行っています。

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アポハイドローションapohide lotion

保険で認可された初めての手掌多汗症の外用薬です

令和5年6月1日から処方できるようになった多汗症の治療薬です。
しかも、手掌(手のひら)の多汗症「いわゆる、手汗」に有効な薬剤として開発された初めての薬剤です。
湿布で有名な久光製薬から発売されました。





1本が4.5mlです。(かなり小さいです)

 院長の手です。手のひらにすっぽり入るくらいです。

1本で約1週間分の容量です。
当面は、一度に2本までしか処方できません。(発売後1年間は処方制限があるため)
12歳以上でなければ使用できません。
妊娠中、授乳中の方には処方できません。



手掌多汗症の治療ガイドライン

多汗症についてのページにも記載していますが、多汗症の治療ガイドラインは下のアルゴリズムです。
ここにアポハイドローションが加わりました。





これまでは塩化アルミニウム溶液の外用が一般的な治療でした。
なぜなら、
イオントフォレーシスは行っている施設がほとんどない。
BT-A(ボトックス注射)は手掌多汗症には保険適応外。つまり高い!
交感神経遮断術は現在広島大学病院麻酔科、舟入病院麻酔科が治療を中止したため、広島市で治療可能な施設がない

そのため、当院でも塩化アルミニウム溶液で治療を行ってきました。

この度、アポハイドローションが加わることで、新たな治療法を手に入れることができます。




アポハイドローションの作用機序

基本的には、
エクロックゲル、ラピフォートワイプ、ボトックスと同じ機序のようです。
「エクロックゲル」→「アポハイドローション」に読み替えてください。

ただし、エクロックゲルやラピフォートワイプでは手掌には効果が少ないのに、どうしてアポハイドローションが手掌に効果を出せるのか、、、、これは興味があります。
もともと、湿布で有名な久光製薬の製品なので、何かしら皮ふの深い部位まで浸透するノウハウがあるのかもしれません。



--------以下、エクロックゲルのページから引用----------------------------------------------------

多汗症の原因は、エクリン汗腺という汗の腺の機能亢進です。この汗腺は交感神経節後ニューロンという神経線維から放出されるアセチルコリンの刺激で汗を分泌します。
つまり、多汗症の治療のためには、このアセチルコリンの刺激を止めればよいことになります。

ボトックスが神経終末からのアセチルコリンの放出を抑制することで、アセチルコリンの刺激を止めているのに比べ、エクロックゲルはアセチルコリンが汗腺にくっつくところをブロックすることでアセチルコリンの刺激が伝わらないようにしています。

シェーマで示すと下のような感じですね。



でも、どちらの薬もアセチルコリンの刺激を抑制することで発汗を押さえていますので、作用機序はほとんど同じです。

-------以上、エクロックゲルのページから引用----------------------------------------------------





塩化アルミニウム溶液との比較

では、塩化アルミニウム溶液との作用機序の比較はどうでしょうか。

塩化アルミニウム溶液は作用機序が全く異なります。
塩化アルミニウム溶液は、汗を出す管(汗管)の細胞に作用し、この管を閉塞させることで発汗が減少するといわれています。
つまり、汗腺で作られた汗が汗管を通って皮ふに出るまでの通り道を塞いでいることになります。

  


したがって、塩化アルミニウム溶液とアポハイドローションを併用する意義は大いにあると思います。

ただし、アポハイドローションは夜に外用することが決まっています。(副作用対策です)
塩化アルミニウム溶液は拭き取らないといけないので、夜しか外用できません。

つまり、アポハイドローションと塩化アルミニウム溶液を併用することは、外用時間が重複するという点で困難ではないかと思います。


1つの考えとして、
塩化アルミニウム溶液は効果が発現するまで毎日外用し、その後は週に1-2日程度外用します。逆に言えば、週に5-6日は外用しません。
そのため、塩化アルミニウム溶液から治療を開始し、塩化アルミニウム溶液の効果が出てからは、塩化アルミニウム溶液を外用しない日にアポハイドローションを外用するというスケジュールなら併用できるかなと思います。(院長の試案ですので、エビデンスはありません。)




アポハイドローションの使い方











久光製薬の製品リーフレットから転載



アポハイドローションの注意点

  • 意図せず洗い流されないように、手が濡れる行為は避けること。
  • アポハイドローションを外用後に、気密性の高い手袋などでは覆わないこと。
  • 起床後に手を洗うまでは、塗った箇所以外(特に目のまわり)に触れないこと。もし、目に入ったときにはすぐに水で洗い流すこと。

抗コリン作用がある薬剤なので、目に入ると瞳孔が散瞳します。
つまり、瞳孔が開いた状態が続いてしまいます。
「光がまぶしい」「ピントが合いづらい」といった症状が認められますので、朝に散瞳したときには自動車の運転などには支障が生じます。
注意してください。




アポハイドローションの治療費


   薬価 3割負担の方
アポハイドローション 1個:4.5ml (7日分)
 2360 円 710 円 
令和6年5月頃までは処方制限があります。1回2個までの処方になります。  
(3割負担の方で、14日分で1420円くらいです)

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