ニキビの治療に漢方薬と聞くと、意外な気がするかもしれません。
ニキビの治療の根幹は、皮脂の分泌抑制、皮脂の排出促進、ニキビ桿菌の殺菌ですが、漢方薬がそれらのどこに作用しているのでしょうか。
実のところ、どこに作用しているのか個別にはよくわからないようです。漢方を使ったニキビ治療の最も特徴的なところはニキビ肌そのものを改善していくところにあるといわれています。
ですので、あぶら肌の方にはこの薬、生理不順のある方にはこの薬、赤ら顔の方にはこの薬というように、肌質を見ながらそれに合う薬を処方することになります。
ニキビに効果のある漢方薬
- 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
- 清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)
- 枝茯苓丸加苡仁(けいしぶくりょうがんかよくいにん)
- 黄連解毒湯(おうれんげどくとう)
- 桃核承気湯(とうかくじょうきとう)
- 排膿散及湯(はいのうさんきゅうとう)
などがあります。
どの薬がどのニキビに効くかは非常に難しいところです。
そのため、当院では症状に応じて単純化して漢方薬を処方しています。
ニキビの漢方薬治療の実際
○
初期のニキビで赤い皮疹がプツプツあるもの。膿を持ったものは少ないとき。
十味敗毒湯を処方します。
初期の治療に使用します。
○
炎症が慢性化し、化膿が認められるもの。青年期のニキビであぶら肌がある。
荊芥連翹湯を処方します。
思春期のニキビで、脂ぎるくらい元気な若者に処方します。
○
化膿が強く、隆起して尖った皮疹があるもの。比較的急性の炎症に用いる。青年期のあぶら肌。
清上防風湯を処方します。
荊芥連翹湯と効果は同様ですが、より重症な症例に処方します。
○
思春期以降の女性のアゴの周囲に生じるニキビ。生理痛、月経不順などを伴う症例。
桂枝茯苓丸加よく苡仁を処方します。
シミやソバカスにも効果があり、美容的にも有効です。
その他、顔面全体が赤く、ほてり感があるときには、黄連解毒湯や加味逍遥散を処方するときもあります。
とにかく化膿が強く、膿を出したいときには、排膿散及湯を処方します。