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西風新都のこころ皮ふ科クリニックです。皮ふ科一般の治療と皮ふ外科、レーザー治療を行っています。

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Qスイッチ ルビーレーザーthe Ruby nano Q

※ 平成29年4月19日に導入しました!
これまでしみの治療にはロングパルス型のアレキサンドライトレーザーを使用してきました。
1発が15oとコストパフォーマンスがよく、表在性で色調の濃いしみには有効なのですが、あまり色のないしみや色素が深いしみには十分な効果が得られませんでした。
Qスイッチタイプのルビーレーザーは、ロングパルス型で対応できないしみにも効果を期待できます。また、アザに対しては保険の適応があります。お子さんの、青あざ(異所性蒙古斑、太田母斑)や茶あざ(扁平母斑)には保険で照射が可能です。

Qスイッチ ルビーレーザーとは?

レーザーの機序や効果を詳細に説明すると、延々と難しい話がつづきますので、ここでは簡単にレーザーとはどういうものかを説明します。

「レーザーとは何か?」をとにかく簡単に説明しろといわれれば、
「レーザーとは単一の波長の光を強烈に増幅したものです」と答えます。

単一の波長とは、レーザーの種類によって異なります。
例えば、
ルビーレーザーであれば、694nmという波長を増幅します。
アレキサンドライトレーザーであれば755nmの波長を、YAGレーザーなら1064nmの波長を増幅しています。他にも、ダイレーザー、アルゴンレーザーなど色々なレーザーがありますが、基本的には波長の違いです。

そして、この波長によってターゲットとなる病変の色や種類が変わってきます
下の左の図を見てもらうとよいのですが、(赤い線)はヘモグロビンという血液に含まれる赤い色素です。すなわち、赤い病変には694nmのルビーレーザーよりも1064nmのYAGの方がしっかり吸収されることがわかります。逆に言うと、ルビーレーザーの694nmの波長は赤い色素にはほとんど吸収されません。
もう一つの ー(黄色い線)はメラニンを示します。メラニンはしみの原因になる黒い色素です。メラニンは波長が短いほど吸収がよいことがわかります。


このヘモグロビン(赤い色素)とメラニン(黒い色素)の吸光の差がしみに対するレーザーの効果に大きく影響します。
右上の図では、ルビーレーザーとアレキサンドライトレーザーの吸光度を拡大して示しています。
ルビーレーザーの方がメラニンへの吸光度が高く、ヘモグロビンへの吸光度が低いということがわかります。ということから、ルビーレーザーが黒い病変に効果が強く、かつ血管へのダメージを少ないレーザーだという結論になるのです。

ただ、これが全ての要素であれば、しみに対してはルビーレーザーの方がアレキサンドライトレーザーよりも完全に優れることになります。それならアレキサンドライトレーザーの存在意義がなくなりますよね。
一番右に書いてある 「この差が離れているほど効果がある?」という問いかけですが、答えはNo!です。

実際はそう単純ではなく、別の要素も絡んできます。
例えば、波長が長い方が皮ふの深くまで浸透しやすいという要素があります。いくらルビーレーザーのメラニンへの吸収がよくても、しみの表面にしか効かなければ、それでは満足のいく効果が得られません。アレキサンドライトレーザーの方が波長が長いだけ深達性に優れますし、YAGレーザーのほうがもっとよいことになります。
そこを補うために、Qスイッチというシステムを用いて、瞬間的なエネルギーを増幅しているわけです。1発の照射時間を極限まで短縮することでエネルギーを高くしつつ、周囲の組織への障害を防ぐという魔法のようなシステムを成し遂げているということですね。ここはかなり難しい内容になるので、これ以上は割愛します。ルビーレーザーは基本Qスイッチ型しか使用しませんが、アレキサンドライトレーザーはロングパルス型でも現役バリバリなのはこのあたりが理由ですね。

頭が痛くなるような内容をツラツラと書きましたが、最後まで読んで頂いた方にはありがとうございました。要は、Qスイッチ ルビーレーザーが優れたレーザー機器であることがわかれば十分ですね。


the Ruby nano Q


ジェイメック社のthe Ruby nano Q」というルビーレーザーです。

ルビーレーザーの詳細について上の説明をご参照ください。
それ以上に興味のある方は、ジェイメック社のホームページをご参照ください。


メラニンに強く反応するレーザーですので、「黒い皮疹」あるいは「青い、茶色い皮疹」に有効です。

具体的には、
しみ、そばかす、ほくろに効果があります。
黒〜紺の刺青にもある程度効果があると思います。それ以外の色の刺青には効果はありません。

これらの疾患には残念ながら保険は適応されませんので、ご注意下さい。

保険適応になる湿疹は、
太田母斑、異所性蒙古斑、扁平母斑、外傷性刺青です。






 1発の大きさは、直径5oの5角形で照射されます。
 ガイド光がでますので、照射は比較的正確にできます。

 ジェントルレーザーに比べると1発の大きさは小さいです。
 (ジェントルレーザーは1発 15-18o)

 ですので、一つのしみについても、数発は照射することになります。その分だけ、ジェントルレーザーよりも、治療費は割高になりますね。










 照射されるレーザーはトップハット型という形式なります。
 これは、ガウシアン型に比べて均一なエネルギーが照射されるため、照射野の中でレーザーの強さに差が出ません。

 効果のムラができたり、部分的に色が白く抜けてしまったりすることを予防できます。















適応疾患の詳細については、下に別々に記載します。

保険外の治療について

しみの治療については、
しみのレーザー治療のページに書いてあることとほぼ同じです。まずはそちらを参照下さい。

少し異なることは、
@薄いしみにも効果が期待できます。
Aジェントルレーザーでは苦手だった対称性真皮メラノサイトーシスにも効果があります。
   (対称性真皮メラノサイトーシスについてはしみの種類と見分け方のページを参照して下さい。)


レーザーの製造元から提供された写真で説明します。(当院の症例ではありません)

  @右頬部の老人性色素斑です。            Aレーザーを照射直後です。

  Bレーザー照射後3日目です。             Cレーザー照射後10日目です。

  Dレーザー照射後1ヶ月目です。            Eレーザー照射後半年です。

しみをカサブタにして落としていくのは同様です。
Aの写真のように、照射した直後にしみの表面が灰色に変化することがレーザーの効果が期待できるサインになります。

ソバカスについても、同じ経過になります。

   ソバカス   照射前               ソバカス   照射後



当院の症例(患者さんの同意のもとに掲載しています。)



 ソバカス
 照射前















 ソバカス
 両頬部の内側のみ照射した。

 Q-ruby1回照射して2ヶ月経過











ほくろについては、一度では治療は終了しません。何回か重ね打ちをして、徐々に薄くしていくことになります。ほくろのQルビーレーザーの治療については、別にほくろのページに記載する予定です。

ほくろとは別の病態ですが、唇に黒い皮疹が散在する「口唇メラノーシス」にもQルビーレーザーは有効です。

口唇に黒い色素斑が散在します。口唇メラノーシスと呼ばれる疾患です。アトピー性皮膚炎や接触皮膚炎など、口唇に繰り返し湿疹を生じる方によく認められます。








 拡大すると比較的明瞭な色素があることがわかります。





Qルビーレーザーのよい適応です。一度の照射でかなり薄くなります。



 繰り返し照射することで、ほとんど目立たなくなることが多いです。
 ただし、元々の湿疹をコントロールすることが大事ですが。





口唇に黒色斑が多発する「Laugier-Hunziker-Baran症候群」という疾患があります。
この際もQルビーレーザーは有効です。


レーザー照射前です。下口唇に黒色斑が多発しています。


レーザーを1回照射しました。右横には照射していません。
1回の照射でかなり色素が薄くなっていることがわかります。
口唇は瘢痕や炎症後色素沈着が生じないので、レーザー治療のよい適応部位です。




保険での治療について

保険が適応される疾患は、
@ 太田母斑
A 異所性蒙古斑
B 外傷性色素沈着症
C 扁平母斑
の5つの疾患です。





 太田母斑です。
 目のまわりに青っぽいアザが生じます。
 生まれながらにあることもありますが通常は思春期に目立つようになります。
 時には白目にも色素が認められます。
 





 異所性蒙古斑です。
 おしりの蒙古斑はアジア人はほとんどの子供に生じますが、10歳頃までに消えてしまいます。
 異所性蒙古斑はそれよりも長く残り、特に手足の異所性蒙古斑は消えないこともあります。
 そのため、レーザー治療の適応になります。





 外傷性色素沈着症です。
 別名、外傷性刺青(いれずみ)ともいいますね。
 アスファルトの上で転倒し擦りむいたりすると、皮膚の中にアスファルトの粉が入ったまま傷がふさがり、このような青っぽい色が残ることがあります。
 ケガによって不慮にできたいれずみのことです。鉛筆の芯が刺さった痕も同様です。
 色調にもよりますが、黒〜紺であればQルビーレーザーの効果が期待できます。

@〜Bの疾患は、初回を含めて5回の照射が保険で認められております。

 扁平母斑です。
 別名、茶あざともいいますね。
 生まれながらに認められるアザの一つですが、一般的に思春期頃に目立ってきます。元々うっすら色があったのが小学校高学年頃から段々まだらに目立つようになったというような経過が多いです。
 Qルビーレーザーの適応ですが、上の3つに比べて効果にはムラがあります。また再発も多く、満足な治療が難しい疾患になります。
 そのためか、扁平母斑のみ、治療は初回と2回目の2回の照射しか保険で認められておりません。

実際のQルビーレーザーの症例を示します。
 ジェイメック社から提供された写真がほとんどです。

 異所性蒙古斑の治療の写真 

左が照射した後の写真です。 右の写真には、どの部位に何回Qルビーレーザーを照射したかが示してあります。

 扁平母斑の治療の写真

扁平母斑にこれくらい効けば、優秀な方だと思います。



保険外の治療費(自由診療)

  • しみ、ソバカス、ほくろ、対称性真皮メラノサイトーシス、口唇メラノーシス、刺青の治療が該当します。
  • 健康保険は適応できません。 自費の治療です。
  • 初診時のみ初診料2,000円がかかります。再診料は治療費に含まれます。
  • 痛みに対して麻酔の外用剤(エムラクリーム)を塗布することができます。ただし、治療の1時間前からクリームを塗布する必要があります。エムラクリームは5gで1,000円が必要です。
  • 下記料金は本ページ作製時の金額です。今後、変更になる可能性があります。

 しみ、刺青、対称性真皮メラノサイトーシスの治療
直径1cmの円の範囲 5、000円 
1円玉の範囲(直径2cm相当) 8、000円 
それ以上の時は1円玉の大きさごとに 2、000円ずつ追加 


ソバカスのように一つの皮疹が小さくて多発しているときは、1発ずつで算定します。
 そばかすの治療
1個の皮疹(5mm大まで) 500円 


ほくろに照射するときには、
強いエネルギーでの照射になります。
 ほくろの治療
ほくろ 1個につき
(直径が3mmまで) 
1、000円 (初回照射)
     600円 (2回目の照射以降)
 ほくろ (直径が3mm以上) 老人性色素斑に準じて算定します 
ほくろの濃さにもよりますが、通常1回の照射では完全に色を消すことはできません
数回照射する必要があると考えてください。
口唇メラノーシスもほくろに準じて治療を行います。



保険の治療費

  • 太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着、扁平母斑の治療が該当します。
  • 小児医療が適用されます。
  • 保険の治療は、照射する面積によって医療費が異なります。
  • 痛みに対して麻酔の外用剤(エムラクリーム)を塗布することができます。ただし、治療の1時間前からクリームを塗布する必要があります。エムラクリームは保険が適用されます。
  • 下に示す治療費は3割負担の方の負担額です。1割負担の方はこの1/3になります。小児医療があれば、地域により行政に決められた定額になります。
  • 発数は当院のレーザーでの大まかな発数です。レーザーの種類が異なれば変わってきますので、他院で治療されるときには指標になりません。

 太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症、扁平母斑の治療
4cm2未満(約20発まで) 6、000 円(3割の方)
 4cm2〜16cm2(約70発まで) 7、110 円(3割の方)
 16cm2〜64cm2(約280発まで) 8、700 円(3割の方)
 64cm2以上(約280発以上) 11、850 円(3割の方)
3歳未満では 乳幼児加算6、600円が加算されます。

頭〜首、左上肢、左下肢、右上肢、右下肢、腹部あるいは背部のそれぞれの部位ごとに所定点数を算定しますので、もし左腕と背中に照射するときには、各々の範囲での治療費を足したものになります。


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