簡単に言えば、
女性ホルモンの錠剤です。本来の作用は、
経口避妊薬です。
では、
女性ホルモンとは何でしょう?
女性ホルモンとは女性の卵巣から分泌されるホルモンです。 卵胞から分泌さ れる
卵巣ホルモン(エストロゲン)と、排卵後に卵胞から変化した黄体か ら分泌される
黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類に分けられます。
経口避妊薬には、このエストロゲンとプロゲステロンが含まれているものが ほとんどです。
日本で発売されている低用量ピルは、
エストロゲン:ethinyl estradiol(EE)
プロゲステロン:プロゲスチン(LNG, NET, DSGのいずれか)
の2つの成分からなります。
このEEを極力減量して、血栓症や吐き気、乳房痛などの副作用を軽減したも のが低用量ピルです。
ニキビに効果があるためには、EEが20μg必要ですが、
左上の写真に示す
マーベロンはEE30μg含有し、ニキビへの効果が期待できます。
※ 当院では、
低用量ピルのみの治療は行いませんが、
スピロノラクトンと併用していただくことがあります。低用量ピルを内服するときには、事前に産婦人科を受診し子宮体癌や卵巣癌がないことを診察していただく方が安心です。そのため、
原則としてスピロノラクトンのみの内服から治療を始め、生理不順や不正出血が生じたときに低用量ピルの併用を検討します。その際は、当院から最寄りの産婦人科を紹介させていただきます。
ですので、以下は一般的な低用量ピルのニキビに対する効果などを記載しています。
低用量ピルがどうしてニキビに効くの?
低用量ピルに含まれる
エストロゲン:ethinyl estradiol(EE)が
sex hormone binding globulin(SHBG)という性ホルモンと結合するタンパク質を増加させます。
このタンパク質(SHBG)がテストステロン(アンドロゲンの一種)と結合します。
血液中のテストステロン(遊離テストステロン)が減少します。
ニキビの発症を抑えます。
この他の効果として卵巣由来のテストステロンの産生を抑制します。
一方で、低用量ピルに含まれる
プロゲステロンはアンドロゲン受容体に結合して、ニキビを増悪させる作用があります。3種類のプロゲスチン(LNG, NET, DSG)の中で
DSGが最もこの作用が少ないとされているため、DSGを含むマーベロンがニキビの治療に使用されることが多いのです。
低用量ピル(マーベロン)の副作用は?
ピルと聞くと副作用を思い浮かべる方も多いと思いますが、最近のピルは低用量であり、副作用はほとんどありません。 しかし、全くないわけではありませんし、副作用が起きやすい方は内服できません。いずれにしても、注意して検討いただく必要があります。
@
飲みはじめに、
不正出血、吐き気、頭痛、乳房の張り、乳房痛などがよくみられます。
これらはホルモン環境が一時的に変化するためと考えられますので、それほど心配いりません。
2〜3カ月続けて体が慣れくれると、しだいに軽快します。不正出血は、飲み忘れでもよく起こりますから注意してください。
A ごくまれに
血栓の病気を悪化させたり、その引き金になることがあります。
血栓症は、血液の固まりにより血管が詰まることで起こります。生じる所はいろいろです。
手足、とくにふくらはぎの痛みやシビレ、激しい頭痛、突然の息切れ、急に視力が落ちるといった症状が前触れとなります。万一、そのような症状があらわれたら、すぐ医師に連絡してください。
ごくまれですが、最近新聞に死亡例も報告されています。
B 発生頻度はきわめて低いものの、長期使用において、
乳がんと子宮頸がんの発症リスクが少し高まる可能性があります。
乳がん、子宮がんの定期検診を受けていただければ大丈夫ですが、飲み始めには現時点で子宮がんや卵巣がんがないことを産婦人科で診察していただく方が安心です。
低用量ピル(マーベロン)の治療法は?
- 基本的に「月経開始から5日目まで」の間に飲み始めます。
- 毎日1日1錠を一定の時刻に28日間(最初に白い錠剤を21日間、引き続き緑色の錠剤を7日間)飲んで下さい。 1日1錠を毎日欠かさず続けなくてはなりません。
- 飲み忘れたとき
- ニキビの治療のみの目的で内服されるときは、飲み忘れた錠剤はシートに残しておき、続きから通常通りに飲んでください。通常分を飲み終えたら、残ったものを後で飲まず、新しいシートから飲み始めてください。
- 避妊も目的にされるときは、飲み忘れがあって48時間以上が経ってしまったら、その月の服用は止め、次の月経から新しいシート(1ヶ月分)で飲み始める必要があります。48時間以上経過して内服すると避妊効果は保証できません。
低用量ピル(マーベロン)の適応となる方
(スピロノラクトンと同じです。)
- 弱いあるいは中程度の多毛を伴う方
- 成人になって始まったか、あるいは成人になって悪化した方
- 顔面の皮脂が多い方 (いわゆるあぶら肌の方)
- あごひげの領域に限定した赤いニキビのある方
- 胸や背中など広範囲にわたるニキビのある方
- 月経不順のある方
低用量ピル(マーベロン)を内服できない方
- 乳癌、子宮頚癌、子宮体癌にかかっている方
- 原因不明の性器出血がある方
- 血栓症を起したことのある方
- 35歳以上で1日15本以上タバコを吸う方
- 前兆をともなう片頭痛のある方
- 血液が固まりやすい体質の方
- 4週間以内に手術を予定している方や術後2週間以内の方
- 産後4週間以内の方
- 重篤な肝障害や肝腫瘍がある方
- 高血圧の方
- 妊娠中または授乳中の方
低用量ピル(マーベロン)の内服に慎重を要する方
- 40歳以上の方
- 乳房にシコリのある方、血縁者で乳癌になった人がいる方
- 35歳未満の喫煙者
- 前兆のない片頭痛のある方
- 肥満の方
- 血縁者に血栓症になった人がいる方、血栓ができやすい体質の方
- ポルフィリン症の方
- てんかんのある方
- テタニーのある方
低用量ピル(マーベロン)治療の料金
|
単位 |
料金 |
現在取り扱っていません。産婦人科で処方を受けてもらいます。 |