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西風新都のこころ皮ふ科クリニックです。皮ふ科一般の治療と皮ふ外科、レーザー治療を行っています。

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しみの種類と見分け方differential diagnosis

「しみ」と「あざ」について

「しみをとりたいのですが」といわれて来院される方が多いですが、この「しみ」というのは実に曖昧な表現です。また、似たような意味で「あざ」という言葉もあります。
しみとあざの違いには定義があり、年齢とともに増えてくるものを「しみ」生まれつきあるものを「あざ」と呼びます。しかし、実際には混同されていることも多いと思います。

大人の「しみ」と、子供の「あざ」とは全く異なります。
一般的には、大人のしみでは「老人性色素斑」あるいは「肝斑」を指すことがほとんどだと思います。
ここでは、これらの大人のしみの種類と見分け方について説明します。

ちなみに、子供の「あざ」についてですが、「黒あざ」「赤あざ」「青あざ」「茶あざ」と呼ばれることがあります。

大人のしみについて

大人のしみは、
女性では5種類 
男性では2種類   があると考えればよいと思います。

女性では、
@老人性色素斑(ろうはん)、A肝斑、B雀卵斑(ソバカス)、C対称性真皮メラノサイトーシス、D炎症後色素沈着という5種類のしみがあると思ってください。このうち、圧倒的に多いのは、@老人性色素斑とA肝斑です。おそらく、この二つで90%を占めると思います。

男性では、
@老人性色素斑、A炎症後色素沈着がほとんどです。ごくまれに肝斑もおられます。
男性のしみは、実はイボ(脂漏性角化症)であることがほとんどです。脂漏性角化症については、炭酸ガスレーザーの適応になりますので、ここを参照してください。

しみの種類によって、治療法は全く違います。
ここを理解していなければ、正確な治療は無理ですし受診をされてもガッカリする結果になります。


まず、鑑別が必要です。

では、しみの鑑別はどうすればよいのでしょうか。
これはかなり難しい課題です。しかし、基本的には @分布、A発症時期 で分けていきます。

● まず分布から見ていきましょう。

@ 円形の茶色いしみが左右バラバラに生じているタイプ




 典型的な老人性色素斑(ろうはん)の分布です。

 色調は茶色〜こげ茶色で、しみの境界は明瞭です。
 表面はツルツルしていますが、一部にイボを伴うこともあります。
 同じ部位に以前ニキビやかぶれ、やけどなどの炎症を起こしたこと
があれば、同じ分布でも炎症後色素沈着のことがあります。

 男性にも生じますが、気にされない方が多いですね。





A 左右対称性にもやもやとした茶色いしみが生じているタイプ




 おそらく肝斑(かんぱん)の分布です。

 最初は頬骨のあたりに薄いしみが生じ、徐々に両方の頬に拡大します。まぶたの皮膚には生じないことが特徴ですが、最終的には三日月のように眼のまわりを取り囲みながら広がり 鼻下にもしみが認められるようになります。

 年齢としては30歳から40歳が多く、出産を契機に生じることが多いとされています。
 逆に、閉経後には目立ちにくくなることが多いです。

 男性には滅多に生じません。



B 左右対称性に粒状の茶色いしみが横一線に生じているタイプ





 おそらくは雀卵斑(そばかす)の分布です。

 キャンディキャンディで有名ですが、子供の頃から生じます。
 そして、思春期頃に一番目立つようになります。

 肝斑との鑑別は難しいですが、最初から鼻の上にもしみがあることが鑑別点になります。

 春から初夏になると色調が濃くなることがあります。

 男性にはまず生じません。



C 左右対称性に粒状の黒っぽいしみが生じているタイプ



 かなり難易度が高いですが、対称性真皮メラノサイトーシスかもしれません。

 かつては遅発性太田母斑様色素斑と呼ばれていた時期もあり、太田母斑の一型と考えられていました。現在では太田母斑とは別の疾患と考えられています。

 頬骨あたり、おでこの外側、小鼻に生じること多く、頬部では粒状ですが、おでこの外側では面状になります。肝斑と異なり、まぶたの皮膚にも生じます。

 男性に生じたことを見たことがありません。ほぼ女性です。


D 日焼け、ケガ、やけど、吹き出物などの後にしみが生じたタイプ




 迷うことなく、炎症後色素沈着と思います。
 老人性色素斑と違い、境界はわかりにくく、色調もムラがあります。

 男性のしみはほとんどがこの炎症後色素沈着です。仕事やゴルフで日焼けを繰り返すと高率に生じます。

 顔面のどこにでも生じます。日焼けやケガ、やけど、ニキビなどなど、以前に何らかの炎症を生じた部位に生じますが、自覚がないこともしばしばです。

 白人では少なく、黄色人種に特有のしみです。


● 次に発症時期から見ていきましょう。

 しみの種類 発症時期  予想される経過 
 老人性色素斑 中年以降  生涯続く 
 肝斑  30歳〜40歳  閉経後に薄くなる
 雀卵斑 3歳頃。思春期に目立つ 30歳頃から徐々に薄くなることが多い 
 対称性真皮メラノサイトーシス 思春期前後  加齢とともに濃くなる 
 炎症後色素沈着 いつでも  個体差が大きい 


肝斑は最も気になる時期に生じるため、訴えが一番多いしみです。
そのかわり、原則は徐々に薄くなっていきます。
逆に、老人性色素斑は生涯続き、通常は徐々に濃くなっていきます。


では、実際の症例を見てみましょう。

前項のシェーマを参考にして、次の写真を見てください。
@

これらは明らかな老人性色素斑の所見です。境界明瞭な茶色のしみが右頬部のみに認められます。一番治療がやりやすいタイプですね。



典型的な肝斑の所見です。かなり進んだ症状です。ここまで生じることは日本人には少ないと思います。
目のまわりを避けて、両頬に面状のしみが認められます。進行すると口の周りにもしみが拡大しますが、唇との境界には生じないことが多いです。(目のまわりと同じですね。)


肝斑の初期はこの程度のしみから始まることが多いです。徐々に濃くなり広がっていくことになります。



両頬から鼻にかけて一直線にしみが配列しています。
典型的な雀卵斑(そばかす)の所見です。
写真ではわかりにくいですが、肝斑と違いまぶたにもしみが散在します。どちらかというと、頬骨の近くよりも鼻の近くにしみが目立つことも特徴です。




両頬の頬骨のところに一致してやや濃いしみが散在しています。
これは対称性真皮メラノサイトーシスの所見です。
肝斑との鑑別にはしばしば悩むことになります。肝斑に比べるとしみの範囲は狭く、粒状であることが多いです。鑑別が難しいときには、少しだけレーザーを照射して反応を見ることが多いですね。(効果があれば、対称性真皮メラノサイトーシスだなぁという感じです。)




片方のみしみが認められます。しみは境界が不明瞭で周囲に赤みも伴います。
炎症後色素沈着を疑う所見です。
見た目だけでは決められません。左の症例は常に左首にかゆみがあり、掻破を繰り返しているうちにしみができたと言われます。また、右の症例は転んで右の頬を擦りむき、日光に当たっているうちに一部にしみができたとのことです。
炎症後色素沈着では、炎症の先行があるはずです。ここを聴取できるかどうかで診断が決まります。




子供のあざについて

子供の「あざ」についてですが、「黒あざ」「赤あざ」「青あざ」「茶あざ」と呼ばれることがあります。

黒あざとは生まれながらのほくろ(先天性母斑細胞母斑)を指します。


赤あざとは生まれながらの血管腫(単純性血管腫、ポートワイン母斑)を指します。


青あざとは生まれながらの目のまわりの青ブチ(太田母斑)や(異所性)蒙古斑を指します。


茶あざとは幼少時から思春期に明瞭になるほくろ(扁平母斑)を指します。


これらの治療は基本的に保険が適応されます。あざの種類によって治療法は異なりますので、信頼の置ける皮膚科や形成外科で相談されるとよいと思います。

基本的には、下の表のようになります。
 あざの種類 治療 保険適応 
黒あざ(色素性母斑) 切除 切除の適応あり
レーザー適応なし
赤あざ(血管腫) 色素レーザー 適応あり
青あざ(太田母斑、異所性蒙古斑) アレキサンドライトレーザー
ルビーレーザー
適応あり
茶あざ(扁平母斑) ルビーレーザー 適応あり





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