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西風新都のこころ皮ふ科クリニックです。皮ふ科一般の治療と皮ふ外科、レーザー治療を行っています。

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高濃度サリチル酸ワセリン軟膏HC SAV

サリチル酸とは

サリチル酸とは、天然に広く認められる化合物です。植物内(特に果実)にエステル体であるサリチル酸メチルやサリシンの状態で存在しており、消炎剤や鎮痛薬があります。
この消炎鎮痛作用や皮ふの角質軟化作用があるため、皮ふの治療においては古くからイボコロリ、ウオノメコロリとしても用いられてきました。

このサリチル酸を製剤化したものが、サリチル酸ワセリン軟膏です。
日本では、5%10%のサリチル酸ワセリン軟膏が薬剤として認可されており、普通に処方することができます。
また、50%のサリチル酸をペースト状に固めた製剤を「スピール膏」とよび、市販薬として薬局で購入することができます。もちろん、病院で処方することもできます。

このように、サリチル酸を用いた医薬品は古くから存在し、たくさんの皮ふ疾患の治療に利用されてきました。
しかし、イボに対しては今ひとつ効果を発揮できず、実際にイボの治療で活躍することはあまりありませんでした。



尋常性疣贅(イボ)の診療ガイドライン

このように、イボの治療に対してサリチル酸が重要視されることはあまりありませんでした。
しかし、2019年に大きな転機を迎えます。

2019年に尋常性疣贅診療ガイドラインというものが策定されました。すなわち、イボの治療マニュアルです。
これまで捨て置かれていたサリチル酸が、ガイドラインで推奨度Aを獲得しました。


尋常性疣贅診療ガイドライン2019から転記しました。 クリックで拡大します。

このガイドラインで推奨度Aと判断された治療は、「液体窒素の冷凍凍結療法」と「サリチル酸の外用」のみです。炭酸ガスレーザー、電気凝固、局所免疫療法よりも高い推奨度を獲得しています。
いきなり、ミシュランガイドで三つ星を得たようなものですね。


これには少し経緯があります。
それは次の項で説明します。



高濃度サリチル酸ワセリン軟膏について

サリチル酸外用がガイドラインで推奨度Aを獲得したことを説明しました。

その理由は、欧米では以前からこの「サリチル酸外用」がイボの治療の第一選択だったからです。
ガイドラインの策定に際しては、多くの専門家が世界中の文献を調べた結果、合議によって決定します。日本ではメジャーな治療ではなくても、欧米で第一選択の治療を低い推奨度にはできないという判断だったやに聞いています。

ただし、欧米で使用されるサリチル酸は30%-50%の高濃度のものが多く、日本で処方できる5%や10%では効果が期待できません。50%サリチル酸絆創膏であるスピール膏は本来効果があるはずですが、ペースト状であるためなかなかイボにフィットせず、それが普及しない原因と思います。

そのため、当院では50%サリチル酸ワセリン軟膏を作製し、治療に使用しています。
サリチル酸に消炎鎮痛作用や皮ふの角質軟化作用があることはすでに述べたとおりですが、高濃度では当然その作用も強く発揮されることになります。
そのため、チリチリした刺激感や時には化学熱傷を生じる可能性があります。

しかし、実際に院長が自分に外用して反応を確認しました。
その後、数人の患者さんにモニターとして治療に参加してもらいました。
一定の効果を確認しましたので、高濃度サリチル酸ワセリン軟膏をイボの治療の一つに加えることにしました。



高濃度サリチル酸ワセリン軟膏の治療の方法


50%サリチル酸ワセリン軟膏です。 白色の軟膏です。


まずは院長に外用した写真を掲示します。イボのない正常な皮ふに貼付しています。

バンドエイドにサリチル酸を塗って足底に貼りました。 入浴時に交換します。

1週間繰り返しました。               その後は1週間外用しません。

外用していないうちに周囲から角質が剥げてきます。  約5日できれいに剥がれました。

このように、イボにサリチル酸を外用するときには
@ 7日間連続で外用。
A 7日間外用中止。
@とAを繰り返して治療します。

基本的には冷凍凝固やトリクロロ酢酸と併用しますので、
冷凍凝固あるいはトリクロロ酢酸→サリチル酸7日間連続で外用→サリチル酸7日間外用中止→サリチル酸7日間連続で外用→サリチル酸7日間外用中止、、、、、というサイクルで治療します。
4週間後には再診してもらいます。




このスケジュールで通院できない方は治療できません。



高濃度サリチル酸ワセリン軟膏の症例

数人の患者さんにモニターとしてトリクロロ酢酸を使用してもらいました。患者さんの許可を得て掲示しています。

症例@
 
他院で冷凍凝固を繰り返されましたが効果がないため当院を受診されました。トリクロロ酢酸を希望されたため、トリクロロ酢酸のみで加療していましたが、途中から同意を得てサリチル酸外用を併用しました。
2クール繰り返して疣贅は完治しています。


症例A 驚きの症例です。



 非常に難治なイボです。
 炭酸ガスレーザーでも加療しましたが再発しました。
 トリクロロ酢酸などで加療していましたが、全く改善せず、左の写真のように大きな疣贅が多発しています。手にも疣贅が多発し、削って冷凍凝固で加療していました。

 試しに、右の2カ所のイボに50%サリチル酸ワセリン軟膏を外用しました。











現在外用して2ヶ月目です。この2ヶ月はサリチル酸ワセリン軟膏の外用のみ行っています。冷凍凝固やトリクロロ酢酸は施行していません。

右上のイボはほとんどカサブタがとれるくらいに縮小しています。
不思議なのは、中央の大きなイボにはサリチル酸ワセリン軟膏を外用していません。それなのに、このイボも小さくなり角化はほとんどなくなりました。サリチル酸ワセリン軟膏がイボに対する免疫を賦活化させたものと思います。


手にも多数のイボがありましたが、ほとんどすべて消失しました。

もちろん、このように有効な症例だけではないと思います。
効果に対しては、今後の治療で正確な有効率を算定していきます。



高濃度サリチル酸ワセリン軟膏の治療費

保健で正式に認められた治療ではありません。
50%サリチル酸ワセリン軟膏の治療に関しては自由診療になります。

疼痛のない治療ですので、小児に適応したいところですが、皮ふの薄い小児では反応が強く生じる可能性があるため、当面は中学生以降の患者さんのみの適応となります。小学生以下では治療を行いません。
治療前に、同意書に署名して頂きます。

50%サリチル酸ワセリン軟膏 10g 550 円
健康保険は効きません。実費で頂きます。



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